セッションメモランダム、主にリズムのこと

先日参加した、いろいろ言い合う感じで行われたセッションのメモ。

 

全体的に雑だなぁという一声から検証が始まった。

批評家のごとく印象を言葉にするならぼんやりと「雑」だとか「センス無い」バサバサ切り捨てれば良いのだが、自分が演奏するとなるとそうはいかない。演奏とは腕や手や指を動かし、息を吹き込み弦を弾いたり鍵盤を押し込んだりスティックを振る、具体的な行為であり、その結果聞こえるサウンド具体的なものなので、対処が可能な域まで細分化して検討しないと改善など望めないのだ。

実際の演奏は良く知られたスタンダードだったのだが、著作権等の問題もあるといけないので、ここでは説明のために作成した譜例を添える。

 

音源をよく聴くと、譜例のようなメロディーの二拍三連符の最後の3つ目の入り方や、2小節目は3拍伸ばして休符、アウフタクト、弱起やメロディーの終わりがピタッとそろっている。反面、メロディーの頭の出だしは、レイドバックが各プレイヤーごとに異なり、必ずしもそろっていない。揃っているのは後ろという指摘があった。

 

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次のようなメロディーも、俗な言い方だが、一拍目の「裏」から正確に入る、4拍目の「裏」で終わって、不用意に音を延ばし休符にかぶせない(いきおい、指示がなくても

スタッカート気味になる)、そのあたりが雑であり、端正に聞こえる演奏の重要なポイントという話しが出た。

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ピアノを弾くと、一声のメロディーなら比較的問題なくとも、下記のような二声となると力が上手く抜けずにリズムがずれる、音量が揃わない等、敷居が高くなる。元々力が抜けてないとか、技術的な問題があるところが、一声では埋もれていて、二声になると表に出てくる感じ。根気よく練習しよう。

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何となくではなくて、二拍三連などを正確に演奏するのが問題なのだが、subdivision、サブディビジョン、リズムの細分化の問題もサラっと出た。

譜例のような3連符、四分音符の3連を並べて、それを2つずつ拾っていくと(スタッカート記号を付けた)二拍三連となる。正確な2拍→3拍へのスイッチはこのようにう、ようだ。

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参考までに3拍子から4拍子へのサブディビジョンの話も。

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このあたりが正確にできると、3拍子、4拍子のスイッチが正確にできるようになる。私の行くようなところだと、まず無いが。

五拍子から七拍子へスイッチするようなこともよく練習すれば可能なのだろうが、ジャズの演奏では二拍子四拍子系から三拍子六拍子系へスイッチするだけであろうと思うので、根をつめて練習すれば身に着く、、、かもしれない。

 

音源の紹介

 

サブディビジョンを含めて自在な演奏として、ヴィニーカリウタの(今のところ)唯一のソロアルバムの1曲目、I'm Tweeked。「レコードの針が上手く動かないで飛んだりして、ちょっとずれてそのまま進んでいくみたいな表現が面白い」などと当時のインタビューにあった気がする。

 

三拍子、四拍子を行き来する演奏として、小曽根真「Nature Boy」のLaughter In The Rain。拍子のスイッチを演奏のドライブ感に上手く生かしているのがわかりやすい好演。

 

これは直接関係ないのだが、三拍子の曲をファストの四拍子で演奏しているものとして、エンリコピエラヌンツィ「The Night Gone By」収録の「いつか王子様が」。

 

【追記】

ビルエヴァンズのFiveもサブディビジョン的な検証をすると面白いのだろうが、しばらく聴いていないので、実際のところはわからない。メモ的に書いておくが備忘。機会があったら改めて触れる。

但し、ハーモニー面で着目されがちなビルエバンズの、リズム面が複雑な面へフォーカスした検証をしているフィリップストレンジさんのyoutubeビデオが今のところみられる。氏の関連書籍も出版されている。

 

読む人が居るかわからないが、読んでくれたなら有難う。

では、また今度。